境界性人格障害の増加の原因:家庭の密室化
近年の家庭の密室化は境界性人格障害の原因の一つとなっています。
近年、少子化や核家族化、家庭の細分化による家庭の密室化が進んでいます。
核家族化によって家庭の構造はシンプルになり、親と少数の子供だけで構成されるようになりました。
これらの少数の家族が、さらに個室でバラバラに生活することが当たり前となりました。
それに対し従来では、祖父母や叔父叔母、近所の人間など、立場の違う人達が子供を取り囲み、さまざまな角度から子供の相手をしてくれていました。
家庭が密室化した結果、子供の社会的体験が貧弱になりました。
他者と過ごす機会が減り、対人関係のスキルも低下しました。
その中で親子関係だけが濃密になり、一方で逃げ場もなくなりました。
子供に対する親の影響力ははるかに強いものとなりました。
どんな親でも欠点や偏りはあるものです。
関係が濃密になると、悪い影響もでやすくなります。
従来は緩衝材となってくれていた祖父母や親戚の存在はありません。
親が子供にかまってあげられない時にそれを助けてくれる存在もいなければ、親の感情や考え方に歯止めをかける存在もなくなり、子供は親に大きく左右されるようになりました。
こういった環境では、親が不安定であると、子供は親の感情の波に飲み込まれて共に不安定になってしまいます。
そうして境界性人格障害になりやすい下地ができてしまいます。