境界性人格障害の治療法:個人精神療法
境界性人格障害の治療法である個人精神療法では、面接を通じて心の内面に目を向けます。
通常の外来診察でも医師で顔を合わせますが、あまり長時間話すことはできません。じっくり心の内面に向き合うためには、個人精神療法が適しています。
個人精神療法は、週一回程度、30分から1時間ほど行います。治療者と面接をくり返し、心の内面をみつめ、問題のありかと解決策を探ります。主治医が行うことがありますが、他の医師や心理技術者が担当することもあります。
個人精神療法は、必ずしも必要ではありませんが、本人に自分の問題と向き合う覚悟があり、受けたいという意向が強ければ、非常に有効な治療法です。
個人精神療法の成果は、すぐには現れません。途中で治療者と患者の関係がこじれてしまうのを防ぐために、さまざまな点に注意が必要です。
個人精神療法は次の流れで進めでいきます。
1.治療の適応を考える
本院が自分の葛藤を意識していて、それを改善したいと考えている場合に適応となります。問題行動がおさまっていることも条件になります。
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2.目標を持つ
できるだけ具体的な治療目標を定め、治療を受ける動機をはっきりさせておきます。
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3.治療のルールを設定する
面接の場所や時間、頻度などを定めておきます。治療者も患者もできるだけそれを守るようにします。
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4.面接を受ける
治療者との面接を通して、患者は行動の背後にある本当の気持ちなど、自分の心の内面に目を向けます。
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5.治療者以外とのつながりをもつ
一対一の関係が続くと、患者が治療者の言動や態度にこだわって治療を停滞させてしまう恐れがあります。他に目を向けられるところをつくることも大切です。他の医療スタッフ、デイケア施設、保健所、カルチャースクールなどが有用です。