境界性人格障害の症状:漠然とした不安や空虚さ
境界性人格障害の人は、漠然とした不安や空虚さを感じていることが多いです。
機嫌良く過ごしていたかと思うと急に不機嫌になるなど、境界性人格障害の人の感情はめまぐるしく変動し安定しません。
「安定した不安定さ」とも言われています。
これほど感情が揺れ動いてしまうのは、「確かな自分」を確立ができておらず、パーソナリティが未熟なままであるからです。
「自分がない」という感覚が、不安や空虚さをもたらします。
一時的に幸福感で満たされてもそれは長続きしません。
自分はこうであるという一貫性が無いため、その場その場の状況に、感情が大きく左右されてしまいます。
不安や空虚さが生む代表的な症状は次の通りです。
- 他者を巻き込む強迫症状
- うつ症状
- 解離症状
- 拒食・過食
他者に確認や保証をくり返して求めたり、○○してほしいと執拗な要求を続けたりします。
気分が落ち込み、自分は存在しない方が良いといった感覚に襲われます。
自分が自分ではないと感じ、自傷行為をしたりします。
食べる量が極端に減ったり、逆にむちゃ食いをして吐き出したりします。
未熟なパーソナリティを持つ人が増えている背景には、個人個人の理由を超えた、社会的・文化的な変化も影響していると考えられています。
具体的には次のようなものが指摘されています。
- 家族構造の変化
- 世代間境界の希薄化
- 母親の機能の変化
- バーチャルな世界の普及
核家族での生活が主体になるなど家族構造が多様化・複雑化し、家族間の結び付きが弱くなっています。
親世代と子供との間の境界があいまいになり、子供が子供らしく生きにくくなりがちになっています。
家庭内での父親の存在が薄らいでいく一方で、子供の世界における母親の存在が強大化しています。
コンピュータやITの普及に伴いバーチャルな世界が広がり、現実の世界での経験が不足しがちになっています。