境界性人格障害の治療の経過:自分で解決していくしかないことを悟る
境界性人格障害の治療における回復の過程で、患者は自分で解決していくしかないことを悟ります。
境界性人格障害は人間関係の障害です。
現実的な人間関係の場面で自信がなく、自分がどう評価されているのか、見捨てられたのではないかと不安になりやすいです。
その不安から回復できずに、幼児性が出てきます。
しかし、もちろん大人の一面も持っています。
現実的な問題を明らかにし、解決の糸口をつかんでいくうちに、大人の人格が戻ってきます。
視野が広がり、他者の事情を考慮できるようになって、自然に自分で判断できるようになります。
回復の過程における、考え方の変遷は次の通りです。
1.自分の極端さに気付く
白か黒か、良いか悪いか、他者に対して即決します。
でも現実の世界にはグレーであることも多いです。
人は善悪両面を盛っているものだと受け入れられなくても、まずは自分が極端な考え方をするタイプなんだと気付くことが大切です。
2.他者の解決を求めていたことに気付く
「誰々のせいだ」という時、その言葉には「だから、なんとかしてほしい」という気持ちが隠れていました。
ですが、他者が解決しようとしてくれる内容にも、満足できません。
いつまでも責め続けることになります。
3.他者には他者の事情があることを知る
自分の思い通りに動いてくれないからといって責めるのは自分勝手だったと反省します。
誠実な人であっても、それぞれ事情があり、四六時中付き合うのは無理です。
4.他者に頼るのは確実ではないと悟る
頼っている相手が突然いなくなるかもしれません。
自分だけを見てくれているわけでもありません。
体調が悪いときもあるでしょう。
他者に頼ろうとしている限り、確実さや安定は望めません。
5.自分で解決していくしかないと悟る
問題は自分の中にあります。
どうしてほしいか、ではなく、どうすればいいかを一番わかっているのは自分です。