境界性人格障害 発症の背景:アイデンティティの未熟
境界性人格障害の発症の背景として、アイデンティティの未熟がしばしば指摘されています。
アイデンティティとは、自我同一性・自己同一性とも呼ばれ、自分が何者であるか知り、自分に確信を持つことを指します。
従来はアイデンティティは思春期に形成されるとされていましたが、現代では思春期そのものがずれて、なかなか自我を形成することができません。
その原因として、子供が大人が管理する中で育つことや、集団生活の経験が少ない、社会的経験がないことが上げられています。
そして、精神的に十分に成長しきらないうちに社会に出なければいけないことになります。
よって、何か困難があったときは、一人で乗り越えることができず、誰かに依存したがります。
現代では、アイデンティティが確立されるのは25〜35歳の間と言われています。
一方、体の発育は早く、第二次性徴は10〜13歳です。
その間の年齢では、体は大人でも心は子供という、アンバランスな時期になりやすいです。
このアンバランスな時期に境界性人格障害を発症し、25〜35歳の間にアイデンティティを確立しておさまる人もいれば、アイデンティティが確立されないままずっと苦しむ人もいます。
しかし、一般的には境界性人格障害は加齢とともに落ち着く傾向があります。