境界性人格障害の複雑性:過去の人物の影響を受ける

境界性人格障害の複雑性:過去の人物の影響を受ける

境界性人格障害の人は、過去の人物の影響を受けやすいという傾向があります。

 

過去の人物との関係と、目の前にいる人物との関係を混同してしまいます。
ここには投影性同一視という心理メカニズムがはたらいています。

 

例えば、父親に可愛がられていた人が幼くして父親を亡くすと、自分のタイプの男性に、理想の父親像を投影しやすくなります。
逆に、父親に対して強い反発や葛藤を抱えている人では、年上の男性に必要以上に挑戦的になったりします。

 

一方、母親に対して反発心が強い場合は、母親と性格や印象が似た女性に対して攻撃的になります。
母親依存の人や、幼い頃母親に甘え損なった人では、母親的な人にまとわり付き、優しさをもらおうとします。

 

過去の対人関係の歴史によって、現在の対人関係が左右されます。
周囲の人は、何となく接しづらいと感じたり、初対面とは思えない親しみを向けられて戸惑うことがあります。

 

境界性人格障害の人はこのような特性を持つため、支えようとする人は本人だけではなく、本人に関連する他の人物との関係にも間接的に巻き込まれる可能性が高くなります。

 

背景まで明らかにならないと本人の行動の意味は見えてきませんが、周囲がおかしいなと感じるときは大抵重要な問題が潜んでいます。

 

境界性人格障害の本格的な治療では、過去の親子関係や対人関係に遡り、適切に対処することによって、過去の亡霊の支配から解放することがあります。

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