境界性人格障害:身近な現代病

境界性人格障害:身近な現代病

境界性人格障害は、非常に身近な現代病と言えます。

 

境界性(ボーダーライン)という言葉を最初に用いたのは、アメリカの精神分析家アドルフ・スターンで、1938年のことでした。
スターンは、神経症と精神病のボーダーラインという意味で、その言葉を使いました。

 

1980年代になると、リストカットや自殺企図を繰り返し、本人を支えようとする周囲の人々が、結果的に振り回され、信頼関係を維持するのが難しいというケースが、精神医療の現場で目に付くようになります。
当時は「境界例」という診断名が用いられました。

 

1990年以降は、ごく普通の家庭でも、こうした状態の家族を抱え、あるいは自分自身がそうした問題で悩み、どう対処すればいいのかと悩んでいる人が急増し、大変身近な問題となりました。

 

学校現場でも、必ずそうした問題を示す生徒がいて、現場では対応に苦慮しています。
もはや、患者という認識だけで捉えられる問題ではなく、多くの現代人が抱えている、現代社会病として捉えられる面が大きくなりました。

 

アメリカのデータでは、一般人口の約2%、精神科外来患者の約11%、入院患者の約19%が、境界性人格障害の診断基準に該当するといわれています。
そして、日本もその水準に近づきつつあります。

 

青年期に多く、若い年齢層に限れば、その割合はぐんと跳ね上がります。
また、女性に多く、その頻度は男性の約4倍ですが、逆にいえば約5分の1が男性であり、その割合は年々高まりつつあると推測されています。

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